現地駐在員への質問コーナー1

投稿者: web-master
2月 01 2005 年

 「ベトナム」をより良く理解するために、現地駐在員が様々な質問にお答えいたします。
今回の質問は
(1) 典型的なベトナム人の家とは?広さ?構造?
今日のベトナムの家屋建築を、ひとつの典型的な様式として一般化することはできない。なぜなら各地方のそれぞれの環境に適応したさまざまの建築様式があるからである。
先ず農村部から考察してみたい。図に表したような家屋は封建時代からのキン族(ベトナムで90%を占める主要民族)の伝統を保持している。この家屋の建築様式は三間屋、茅葺屋根(瓦の場合もある)、土壁・竹柱(今日ではセメント、レンガが用いられてきている)、中庭(今日では土ではなくセメントやタイルが敷かれている)によって構成されている。三間の中央の間は、先祖を祭る祭壇、箪笥、中央には和額があり、その両脇にはベッドもしくは螺鈿をほどこした対連を飾る。中央の間が接客を行う応接間であり、両脇の二間が寝室である。それぞれの寝室の広さは3m x 4mほどのもので、リビングルームは寝室の3倍ほどの広さがある。天井に梁がなく天井材(断熱材や樹脂材など)を張れない場合でも古風な紋様や漢字で福禄寿のような漢字の模様が入った板をかける。三間の母屋の横には厨房がある。厨房は寝室とほぼ同じほどの広さであるが、天井は竹や木材で高く建てられ、屋根裏の収納スペースをつくり、農作業でつかう道具(籠、天秤、紐など)や炊事用具(蒔きなど)をしまう。厨房はかまどが普通であるが、練炭やガス(家畜の糞のメタンガスを利用したもの)炉もある。厨房は、母屋の両脇のいずれかにL型に配置される。
以上に述べたような様式の家屋は少なくなってきており、屋根の平坦なもしくはトタン屋根の、厨房・トイレ・浴室が母屋と一体になった近代的な様式の家屋を建て、井戸も水道ができてからは残さないようになっている。
次に都市の住宅についてみる。今日ベトナム各省の都市部は経済的に発展しており、都市への人口集中が進み、都市部の人口密度が過密化している。政府は高層住宅の建設を推進して問題の解決をはかっているが、その進捗は遅く、多くの困難に直面している。都市部での住宅は、そうした理由で雑然としている。建設面積がわずかなところにウナギの寝床のような細長く、しかも高層の建物が建設されている。幅はわずか2〜3mなのに、奥行きは25~50mもあり、さらにできる限りの有効なスペースを確保するべく突出したり、引っ込んだりと様々である。
(2) 家は借りる、買う、どちらが多いのか?
政府の土地政策は、土地は全人民のものであるが、国が唯一の土地所有者であるという政策のもと、政府はいろいろな方法で土地を民に分け与える政策を実施している。ベトナム国民の殆どが土地の借地権を受けて家を建てる権利を有している。祖先、親が残した借地権による者もいれば、土地解放政策によって土地を分け与えられた者もいる。
近年の土地政策は、市場経済化のなかで、投機熱を避けることができなくなっている。特に大都市においては、親から譲られた土地、国から授けられた土地、機関によって払い下げられた土地、自分で購入した土地、分譲の集合住宅等々の多くの不動産を所有する者もいれば、借家住まいを余儀なくされている者もいる。
借家住まいをしている階層は様々であるが、主なものは農村やよその省・都市から出稼ぎや就学のために都市に移り住んできた若い世代である。学校を卒業する際にはその都市に残り、そして一族が徐々に都市に移動してくるのである。ある都市に機関、学校、病院、大企業が集中し、人口が過密になってくると、その都市の土地の資産価値が実際の価値よりもさらに上昇していく。都市の中心部の土地価格が日々天井知らずの上昇を続けているなかで、学校を卒業したばかりの若者には土地も家も買えるほどの金も無く、借家住まいをするしかないのである。
国は住宅問題の解決をするべく集合住宅建設に努力しているが、現時点ではそうした住宅に困っている階層の人に手の届く価格ではないのが実情である。いつまで借家住まいをしなければならないのだろうか・・・
しかしながら、ベトナム政府は、集合住宅建設、土地法律整備、土地投機を抑制政策実現の努力をしている。ベトナムの若者よ、借家住まいをもう少し辛抱して!

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