前回ご紹介したようにハノイは、ベトナム民族と大きくかかわってその歴史は古い。ベトナムの自然から生まれた風光明媚なスポットをはじめ、歴史が織り成す数々の建物、そして現在も活気がみなぎる旧市街地。どこへ行っても奥の深い文化土壌を感じ取れるハノイの魅力をここではお伝えしたい。
市内の主な見所
ホアンキエム湖
ハノイ市中心にあり、ハノイの花篭とも言える名勝。この湖は、10年にわたる抗明の戦いで勝利した名将Le Loi(黎利)が、神から授かった剣を亀に返した伝説にあやかり還剣湖と呼ばれている。今もなおこの湖には亀が数匹生息している。湖の小島にある玉山殿には、ここで発見された亀の剥製が展示されている。
一柱寺
李太祖の長子であるり・タイ・トン(李太宗)が、1049年に建てた。高齢にもかかわらず男児が無かった李太宗は、ある日蓮華台の坐る観世音菩薩より男児を授かる霊夢を見た。そして後日妃に長子を生ませることができたことを感謝して、石柱の上に観音仏が蓮華台に坐る構築を造った。これが延祐寺(一柱寺)として今世紀まで残されたが、残念ながら1954年にフランスがハノイから撤退する際破壊したので、今日みられる建物は、現政府が再建したものである。
文廟
李太宗の長子り・タイ・トン(李太宗)が、1070年に孔子、周公を祀る文廟を建てたことにはじまる。次の国王リ・ニヤン・トン(李仁宗)は、1075 年よりはじめて儒学による選抜試験を行い、同時に国立大学ともいうべき国子監(クォック・トゥー・ザム)も設立された。従来主として仏僧の推薦する人物などを官吏に採用していたのを中国式の文官登用試験制度に切り換えた。科挙に合格した栄ある人々のナを刻んだ進士題名碑は、1442年をはじめとして数十期の合計82個ある。亀が台座になっているのは民族の繁栄を永続させる願いを具現している。
ホーチミン廟
1975年8月29日、ベトナムとソ連の共同による2年の建設期間を経て完成。建物の高さは1.6m、全長320m。正面は1945年に故ホーチミンが独立宣言を読み上げたバーディン広場。向かいにあるのが国会議事堂。ホーチミン廟からみて国会議事堂の右側にある庁舎が外務省、左側にある黄色の建物が共産党中央委員会庁舎。ホーチミン廟の見学が終わると、裏側にある故ホーチミンの執務室兼住居であった高床式建物を見学できる。正面の池には、立派な錦鯉が放されている。
旧市街 (36の通り)
旧市街は、「36の通り」ともよばれるホアンキエム湖北側にある専門店街である。砂糖屋、仏具屋、錫屋といった専門店、職人工房が軒を連ねる。そうした通りの由来はさまざまである。例えば桃屋通りは15世紀に染物職人が集まった通りだったが、当時は赤や桃色に染めるのが常だったために桃屋通りと呼ばれた。15世紀の黎朝の頃よりタンロン(かつてのハノイ)には中国からの多くの中国人が住んでいた柵屋通りは、当時その通りの両側に柵があり、夜になると閉じられていたのでそう呼ばれた。砂糖屋通りは、その名のとおり砂糖、蜂蜜、飴、御菓子類が売られ、今日に至っている。
ドン・スアン市場
モー市場、ホン市場、クアナム市場、ゴックハー市場、ハンザー市場・・・と数あるハノイの市場で最大のものがドンスアン市場。1889年にドンスアン街に設立されたことから始まる。残念なことに1995年の大火によって、かつて賑わったこの市場もすっかり活気を失っている。
鎮国寺
青年通りをつきあたった西湖の小島にあるこの寺は、もともと紅河河畔に西暦541年に建立されたベトナム最古の仏教寺院が17世紀に移転したものである。ベトナム仏教芸術の傑作と言われている釈迦涅槃入滅像が安置されている。境内に佇む菩提樹は、1959年インド首相のハノイ訪問時に寄贈されたもの。
バッチャン
ハノイから南東13キロ離れた陶磁器の村。約600年前から陶器作りが始まったといわれている。独特な白磁、青磁、染付けは、昔々はるか安土桃山の茶人たちに安南染付ともてはやされていた。泥炭で真っ黒になった道々には、約2000人が営む500件を超える工房がぎっしりと並び、製品を運ぶトラック、自転車、人でいつも賑わっている。
水上人形劇(ホアンキエム湖畔キムドン水上人形劇場)
日本ならば平安時代と比せられるベトナム独自の文化を築いた李朝(1009年〜1225年)より水上人形劇は行われていたことが史料から確認されている。水上人形劇は、70〜80人よりなる職人組織によって上演、伝授されつづけてきていたが、かつては劇団忠誠心と秘密の保持が義務つけられ、女性の入団は、結婚して秘密を外部に漏らす恐れがあるため許されなかった。水上人形は、独特な木彫で防水の塗装がほどこされている。日本でいうときっちょむさんのようなおどけたピエロ(ベトナム語では、Chu? te丘と呼ばれる)が主人公となって人々に笑いと楽観を与えてくれる。ベトナムの北部には湖や池が多いが、水上人形劇の舞台は元来そうした村の湖や池だったのだ。今日のハノイでも特別な折には、ホァンキェム湖に舞台を置いて上演している。
ハロン湾
クァンニン省の名勝ハロン湾は、全長120km,面積1,553km2で大小あわせて1969(うち989の島には名前がある)もの島がある世界遺産である。1994年12月17日のユネスコ第18回世界遺産会議で、Dau Go島、Ba Ham湖、Cong Tay島で囲まれた434km2の区域にある, 775の島が正式に世界的な天然資産である認定を受けた。主に石灰岩、自然石によってなる島々の地質は2億5千万年前から形作られたものである。数億年の時を経た神秘的な鍾乳洞を見学することができる。それぞれの島は、Dau Nguoi(人頭)島とかHon Rong(ドラゴン)島、Hon Ong La Vong(釣り人)島、Canh Buom(蝶の羽)島・・・と想像力をはたらかせていろいろな名前がつけられている。












