——アジアンビューティはもうアオザイではない——
さて、「ベトナム女性」と聞いて想像するイメージはどんな感じでしょうか?風にたなびくロングストレートの黒髪、ほっそりした肩、細身体型に似合うアオザイ…欧米人が憧れるエキゾティック・アジアンビューティーという感じでしょうか?
ベトナムには長い黒髪のスリムな女性が多いのは確かです。しかし残念ながら日常生活でアオザイを着ている女性は、ごく一部。白いアオザイが制服の女学生のほか、雑貨やベトナム料理店の店員とベトナム航空の乗務員ぐらいです。
ベトナム女性の美しさを惹きだす民族衣装、アオザイ。一昔前まで新婦の衣装とはアオザイと決まっていました。ところが欧米化の波を受けて、いまやどの新婦も世界共通、白いウエディングドレスに身を包んでいます。日本の着物と同様、自国の文化が育んできた衣装が消えていくのが残念でなりません。
——若い女性の関心は?——
‘ブラウスとパンツ姿に、後ろで束ねたロングヘア、薄化粧(もしかしたら化粧していないかもしれません)’というのが街を徘徊している若い女性の平均的なスタイル。女子大生はより画一的で、そろいも揃って同じようにブラウス/Tシャツにパンツ、そしてつばの広い野球帽を被り、ほとんどノーメイクです。とても幼く見えるので、化粧に余念のない日本の高校生の方がずっとずっと大人に見えるでしょう。
彼女たちの関心事は「白い肌」。色白は美人の条件のひとつとされているため,日焼け防止には躍起になっています。特に国民的移動手段のオートバイに乗る時が大変!重装備姿ゆえに、滑稽かつ怪しげな雰囲気さえ漂います。ブラウスとパンツ,野球帽のお決まりスタイルに加えて、手袋とマスクをする。それだけ聞くと何の変哲もない格好ですが、その手袋たるや、手袋とは言いがたい代物。二の腕まですっぽり包み込むホース状のもの。いわば腕袋と呼びたいくらいです。袖の長さによって長さを調節しているところが憎いんですね。「暑苦し〜!」ナイロン製のロング手袋を見ているこちらの方が汗をかきそうです。一方顔のマスクの方も負けず劣らず大判振る舞い。口元のみならず鼻の付け根から下をすっぽりと覆っています。この完全防備スタイルを初めて目の当たりにしたときは、アオザイの繊細なイメージとのギャップに愕然としたものです。ただこの手袋は結構優れものらしい。今では自転車に乗る友人たちは真似してロング手袋を愛用しつつ日々通勤という図式になりました。
——化粧品事情はいかに?——
最近では、海外有名ブランドの化粧品が進出しデパートのブースを筆頭に、路面店も増えて来ています。しかし一般的な女性たちが使うスキンケア商品の類は ‘Co‐op Mart’,‘City Mart’、‘Maxi-mart’等の大型スーパーマーケットにて、シャワーソープやシャンプーといっしょに並んでます。気になる商品値段は、6000ドン(約¥50)〜9000ドン(約¥70)。「へ?」と驚くほど安いのです。商品内容は別として話の種におみやげとしてお勧めできます。
ジャンルごとに特徴をまとめてたのが下記です。
【洗顔フォーム】
日本の大衆ブランドでおなじみのニベアやポンズ。その横に、ベトナム国産の洗顔フォーム、スクラブ、パック等が並んでいます。ほとんどがチューブ入りで、パッケージには商品に含まれている原材料が一目でわかるような絵が書かれています。例えば、「朝鮮人参入り洗顔フォーム」には朝鮮人参と蜂蜜、「ミルク入りの洗顔フォーム」には牛の絵 (ミルクから連想してからか?) という具合。一方、肝心の使い心地は、泡立ちがほとんどない、スクラブが粗くて痛い、匂いが気になる(ミルク入りは練乳のような匂いで甘すぎる感じ)とか、いまひとつイエいまさんというところです。
【フェイシャルパック】
フェイシャルパックも洗顔フォームと同様にチューブ入りです。パッケージの絵はポップで可愛い物が多い様です。ただ種類が沢山あるわりにはどれも似たような使い心地で、粘着力が強力で、接着剤のように剥がすのがひと苦労。痛みを伴いますが、逆にその強さのせいか効果がある気がします。でも肌にはどうなのでしょうか?心配です。
【化粧水】
しっとり感とか,さっぱり感というよりもただの水のような感じです。
【シャンプー】
ただの新製品と思って買ったらチョコレート色のシャンプー剤が出てきてビックリしましたが,髪につけて泡立てるとモカ色の泡が立ち、洗い心地はよかったです。本当に黒髪になるのかは疑問ですが,シャンプーとしてはOKです。植物から抽出した天然素材で黒さをキープ出きるらしい物(毛染め用ではないようです)もあります。黒髪が美人の条件のひとつだからかベトナム女性には人気のようです。また、他にはパッケージに意味不明な日本語が書いてある物もあり、ちょっと恐くて手が出ないものもあります。3流の偽物ですね。
【化粧に寄せる女心】
戦争や農作業などひと昔前までは化粧どころではない時代が長かったせいでしょうか?年配の方々の大半は化粧にあまり関心がないようです。(ベトナム戦争中に欧米で生活していたごく一部のベトナム人女性達は、そこでブランド化粧品と出会い、その良さに触れ、メイクアップの楽しさを知りました。その当時にお気に入りだったブランドを今でも愛用しているようです。)
一方、若い女性たちは、海外の映画スターやモデルが登場する雑誌を見てそのファッションやメイクアップを真似るのが流行になりつつあります。毎年行われるベトナム人のビューティーコンテストはマスコミでも大々的に取り上げられ、誰もがその栄冠を勝ち取った美女の名前を知っているほどで、ベトナム女性の憧れとなっています。やはり美しくなりたい、魅力的になりたいというのは国境を越えて、全世界共通の願いなのですね。
我々を取り巻く環境の変化はここベトナムにも現れていて、近年、ホーチミンは排気ガス、紫外線、乾燥等々が原因で、スキントラブルで悩む女性が増えてきました。この影響もあるのでしょう。自分の肌を元気にしてくれるスキンケア化粧品へと興味も移行してきているようです。日本では当たり前のスキンタイプ別スキンケア化粧品はまだまだ発展途上ではありますが、コンシューマーである彼女達は、自分の肌に合った化粧品を望んで来ていると思われます。数年後、ベトナム女性はより健康的に、そして洗練され、世界で名だたる美人を輩出しそうな予感がするのです。




